【映画】「チャーリーとチョコレート工場」をカルト好き目線で解説する

こんにちは、映画大好きいじわるこです。

先日小学生の娘に付き合い、「チャーリーとチョコレート工場」を初めて観ました。

製作が2005年と、14年も前の映画になります。

ただ可愛らしいファンタジー映画かと思いきや、ダークな描写が多く、暗~い感じの映画好きな人(私)も楽しめる内容になっていたのが意外でした。

この映画、カルト映画的な要素が盛りだくさんで、好き嫌いが分かれる作品と思うんですが、すんごい流行りましたよね。確か。

当時の興行成績ランキング(eiga.comより)なんか見ても大ヒットしたことは確かなんですが、このシュールな世界観で、万人受けしてたって事実がにわかには受け入れがたい・・。

単なる子供向け映画だと思ってスルーしてる人のために、今更「チャーリーとチョコレート工場」の魅力についてお話したいと思います。

カルト好きは観ないと損ですよ。

あらすじ

ウィリー・ウォンカのチョコレートは世界中で人気のお菓子。
その工場の扉は完全に閉ざされ、謎に満ちていた。

ある日ウォンカは「これから販売するチョコレートに金色のチケットを同封し、それを引き当てた子供を工場見学に招待する」と発表した。

金のチケットの数は世界中でたったの5枚。

運良く「当たり」のチケットを引き当てたのは、食い意地の汚い少年オーガスタス、野心溢れる勝気な少女バイオレット、裕福な家庭でわがまま放題に育った少女ベルーカ、残酷なゲームに没頭する暴力的な少年マイク、そして貧しい家庭に育つが心の優しい少年チャーリー。

ウォンカの案内で工場を見学する子供たちは、目の前で繰り広げられる不思議な光景に驚きを隠せない。

夢のようなチョコレート工場でそれぞれの欲を刺激された子供たちは、次々と身勝手にふるまい、一人ずつ脱落していく・・。

ティム・バートンの描く奇妙な世界観

この映画、「あらすじ」の項目にあるように、ストーリー自体は子供向けのごく単純なお話なんですね。

ただ、ところどころに不気味な描写があり、見終わった後に奇妙なトラウマが残ります。

強烈だったのが、ウィリー・ウォンカが工場で子供たちを出迎えるときに人形劇を披露するんですが、その楽しげな劇がだんだん薄気味悪くなっていき、最後に人形たちが燃えて崩れ落ちるっていうシーン。

子供たちがドン引きしてる横でこれをウォンカは「最高だろ?」と自画自賛してる場面が印象的でした。

これぞティム・バートンの真骨頂。

この奇妙な感じ、何かに似ている・・・と思い出したのが、サンリオの「くるみ割り人形」という人形劇映画。

子供心に薄暗くて気味の悪い映画だったなあ・・。

あと、もう一つ思い出したのが、トラウマソングとして悪名高い「メトロポリタン美術館」の映像。NHKの「みんなのうた」で昔やってたやつ。

子供の頃は怖かったけど、その薄気味悪さ含めて一つの「美」なんだという事を、大人になってから理解しました。

映画の見どころはキレッキレのキャラクターたち

繰り返しになりますが、この映画、ストーリーは至って単純なんですが、悪趣味1歩手前のゴテゴテした映像美に中毒性のある作品です。

そこに花を添えているのがキレッキレのキャラクターたち。

ジョニー・デップ演じるウィリー・ウォンカの情緒不安定っぷり炸裂の演技なくしては、ティムバートンの思い描く世界観は成立し得ないのは勿論の事、他のキャラクターもかなり良い味出してます。

中でも秀逸だと思ったキャラクター設定が

  • バイオレット(野心家な少女)とその母
  • ウンパ・ルンパ(チョコレート工場で働く165名の従業員)

の2組。

この役柄の見どころについて順番に解説していきますね。

バイオレットとその母

まずはバイオレット&母について。

「野心家で金髪の美人母子」って設定が個人的に超好きです。

ジャンルに関わらず、こういうキャラクターは映画にとって非常によいスパイスになると思ってます。

ミュージカル映画「ヘアスプレー」に出てくる意地悪なアンバー&ヴェルマ母子しかり。

「ミーン・ガールズ」のボス役高校生レジーナとその母しかり。

(でもレジーナ母は意外に良い人)

ミステリーもヒューマンもホラーもコメディも、野心家金髪美人親子さえ登場していれば、その映画は2割増しで面白くなると思う。

映画に、もっと野心家金髪美人親子を!

ウンパ・ルンパ

この映画にそこはかとないB級感を与えているのが、165人のウンパ・ルンパをたった一人で演じるおじさんの無機質な演技。

製品開発室の研究員もこのおじさん、秘書の若いお姉ちゃんもよく見るとこのおじさん、ウォンカが信頼するカウンセラーもこのおじさん。

全部の役柄をすべてこのおじさん一人が担う様子はシュール以外の何物でもありません。

そして子供たちが一人ずつ脱落していく毎に、このおじさんウンパ・ルンパが小躍りするシーンがあるんですが、これがまた気の抜けた無表情ダンスで最高なのです。

おじさんの無表情もやる気なしダンスもおそらく計算ずくの演出で、ともすれば盛りすぎになりかねない世界観をゴテゴテの1歩手前で引き締めるティム・バートンのセンス。

鬼才ですね。

トリビア Wonka(ウォンカ)の生みの親はこの映画だった

し、知らなかった・・Wonka(ウォンカ)って、この映画がもとで発売されたチョコレートなんですね。

自分が知らなかっただけなのにトリビアとか言っちゃう図々しさよ・・。

これ、普通に外国の定番お菓子なんだと思ってました。

でも今思い返せば、ヴィレッジヴァンガードとか、なんかそういう感じのお店でしか見かけた事しかなかったかも。

日本では2018年に生産終了のこと。

逆に、映画へのオマージュで作った製品が15年近くも作られ続けてた事が驚きです。

1971年にも一度映画化されていた

この映画、同じ原作で1971年にも映画化されているようです。こちらの邦題は夢のチョコレート工場

ティム・バートン版と比較しながら観るのも面白そう・・!

予告編を見る限り、1971年版はミュージカル要素が強くかなり明るめのタッチで描かれてますが、ところどころにダークな映像があり(1:47あたり)、おそらく原作がそういう世界観なのでしょう。

ウンパルンパのシュールさに関してはティムバートン版の圧勝かと思いきや、1971年版もなかなかの香ばしさ。う~ん、近いうちに是非観てみたい!


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まとめ この映画のダークな映像美はまさに「趣味の良い悪趣味」の極み

この映画を一言でまとめるなら「趣味の良い悪趣味な映画」。

20年も前の話ですが、いっときカルト映画にハマってた時期がありまして、その頃出会ったカルト映画界の巨匠が書いた「ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法」という本にこんなことが書いてありました。

世の中には『趣味の悪い悪趣味』と『趣味の良い悪趣味』の2種類がある。

『趣味の悪い悪趣味』単なる悪趣味だが、『趣味の良い悪趣味』は趣味の良い人間にしか実現できない。

書籍が手元にないので正確な引用ではないのですが、確かこういった趣旨の持論を著者であるジョン・ウォーターズが展開していました。

趣味の良い悪趣味・・この言葉こそ、今回の映画にふさわしいの表現ではないでしょうか。

この言葉に感銘を受けた私は、通学そっちのけで「趣味の良い悪趣味」な映画に出会うべく、せっせと映画館やレンタルビデオ店通いをしたものでしたが、なかなかないんですよね、そういう作品って。

勉強しろ、勉強。

しかしまー、月額400円ぽっちで利用できるAmazonプライム・ビデオのようなサービスがあの頃あれば、私の映画探しもかなり楽だったんじゃないでしょうか。

(今回の「チャーリーとチョコレート工場」は残念ながらプライム対象外)

逆を言えば、見たい作品が好きな時に自宅でサクッと観れるなんて、良い時代になったもんですホント。

また機会があればメジャーな映画をB級目線で解説してみたいと思います(´∀`)

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